広場の話題5「世界の広場 日本の広場~その違いから見えてくるもの(その1)」

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 世界最大の広場はどこでしょうか?
 これは意外と難しい質問かもしれません。私は調べてみて初めて知りました。
 答えは、中国大連市の「星海広場」です。面積は110ha、東京ドーム23個に相当する広さです。この広場は、大連市100年記念として、海岸埋め立てのゴミ捨て場を、中心の舗装部分を芝生が取り囲む円形の広場に整備したもので、1997年に完成しました。
 皆さんの中には、北京の「天安門広場」が最大、と思われた方が多かったのではないかと思いますが、こちらは44haです。とは言え、一面舗装された広場に限ると、この50万人収容の巨大広場は世界最大です。この広場は、紫禁城の第一門「天安門」の前に1954年に造られましたが、中国国民にとってそこは特別な意味を持つ象徴的な場所でした。それは、1959年に建国の父・毛沢東が、14世紀から約500年に渡って中国王朝に代々引き継がれてきた紫禁城のこの門の前で、中華人民共和国の建国を宣言したからです。そういうわけで、天安門広場は中国共産党の権威を14億の中国国民に知らしめる壮大なスケールで造られ、国家のシンボルとなったのです。
 他に大きな広場というと、ロシアの政治の中枢・クレムリン前の「赤の広場」が思い浮かびますが、意外とそれ程でもなく7.3haです。ちなみにクレムリンは、ロシア帝国時代の王朝の宮殿なのですが、ロシア語で「城塞」という意味とのこと。まさにそういう感じですね!
 また、米国のホワイトハウスも周辺に大きな芝生広場が分散していますが、併せても天安門広場くらいです。
 余談ですが、ホワイトハウスは、建物の色が純白ではなくクリームホワイトで、それは紫外線による色落ちを防ぐため、とのこと。「クリームホワイトハウス」なんですね。
 では、世界第2の広場はと言うと、ジャカルタ(インドネシア)の「ムルデカ広場」で75haとのことです。ムルデカはインドネシア語で独立を意味し、文字通りインドネシアの独立を記念して、中央に立てられた独立記念塔を中心にして広大な芝生広場が造られたのです。

 次に日本の広場についても調べてみましょう!
 日本の大きな広場というと、まず思い浮かぶのは「皇居前広場」ですが、面積は20haで、災害時の帰宅困難者の避難可能人数が約10万人とされています。
 他に大広場と言うと、一面芝生の広場としては、東京・立川の国営昭和記念公園にある約11haの「みんなの原っぱ」が、おそらく日本最大だと思うのですが、日本には海外のような巨大広場は少ないようです。

 さて、広場はその目的によって幾つかのタイプに分けられますが、どうも巨大なスケールの広場のほとんどは、政治的・宗教的な儀式や行事に使われ、権力者の権威を示すために造られる広場というタイプに属するようです。
 天安門広場や赤の広場はまさにそれに該当し、皇居前広場の場合は、植栽を配した芝生広場が大部分ですが、中央部だけは全面舗装で、このタイプに該当すると言そうです。
 ムルデカ広場は国の独立の記念ということで少々異なりますが、ヨーロッパの街で見かける戦勝記念の広場と同様、国家礼賛ということで、同じタイプと言えるかもしれません。
 そう考えると、中央集権的な権力構造が続いた中国やロシアと分権的で絶対的な権力をあまり経験してこなかった日本では、広場の在りようが異なっているということは、とても納得できることです。
 皆さんは、もしかするとそうお感じにならないかもしれませんが、個人的にはとても興味深いテーマなので、次回以降、もう少し深掘りしてみたいと思います。

2025年2月第1号No.161
(文責:小町谷信彦)