橋の話題 10「観光スポットの橋 日本編その1」

観光スポットの橋 日本編その1

 皆さんは、観光で橋を何か所くらい訪れたことがありますか?例えば、長崎を観光された方の多くは『眼鏡橋』をご覧になったことでしょう。でも、意識しながら、目的を持って橋を見るという機会は少ないかもしれません。
 それでも多くの観光ガイドブックには名所としての橋が取り上げられています。
『旅行者が口コミで選ぶ日本の橋ランキング2016』を眺めると旅行ガイドの定番スポットとはちょっと趣きの異なった橋も数多く並んでいるのに気が付きます。
余談ですが、『日本三大がっかり名所』をご存知でしょうか? その一つは、高知の『はりまや橋』。よさこい節で歌われている悲恋物語の舞台になった橋として有名な観光スポットなのですが、現地に行くと、残念!という感じのようです。
ちなみに、『札幌の時計台』もこの『三大がっかり』にランクインしているとのこと。地元の人間としては、実にがっかりです。もっとも、わからないでもありませんが。

さて、『日本の橋ランキング』に戻って、ベスト3はというと、沖縄の『伊良部大橋』、『古宇利大橋』と下関の『角島大橋』。コバルトブルーの美しい海を離島に向かって真っすぐに伸びていくスレンダーな桁橋です。ベスト10には、沖縄の『池間大橋』、『阿嘉大橋』と桁橋2つが加わり、南国の青い海に浮かぶ長い桁橋が5橋もランクインしていますがいずれも橋からの眺望が絶景とのことです。こういった海を渡る橋は北海道にもあるのですが、南国の景色には負けてしまうのでしょうか。

形が印象的なものでは、熊本の『通潤橋』、岩国の『錦帯橋』、群馬の『碓氷第3橋梁』、福島の『不動沢橋』とアーチ橋が4橋。設置年代も江戸時代から明治、平成と様々ですが、石造り、木製、レンガ造り、鋼製とそれぞれの時代らしい素材が歴史の重みと風格を漂わせています。
そして、残りの1橋は、静岡・寸又峡の『夢の吊り橋』。大人二人がやっと並べる幅しかない90mのかなり長い吊り橋なのですが、「女性が橋の真ん中で恋の祈りをすると願いが叶う」ということで若い女性の人気を呼んでいるそうです。残念ながら、男性は祈っても無駄なようです。

ところで、道産子の方々は北海道の橋はないの?と気になると思いますが、ありました。20位に北海道は士幌町の『タウシュベツ川橋梁』。北海道遺産に認定された『旧国鉄士幌線コンクリート橋梁群』を代表する昭和12年竣工のコンクリートアーチ橋ですが、大雪山系の山並みをバックにした11連のリズミカルで美しいアーチを写真でご覧になった方も多いでしょう。徐々に風化して、原形が崩れていく姿を見ると、橋も「生き物」なのだなぁ、と感傷的になってしまいます。

橋には、その機能だけではなく、構造の美しさ、地域、地形との関わり、そして歴史を知ることでまた新たな発見があることでしょう。(N.K)