道路標識のあれこれ
今年も4月、恒例の「春の全国交通安全運動」が実施中です。そこで、交通安全に関する問題をひとつ。「左下の写真のひし形の路面標示は何を示していますか?」
答えは「横断歩道あり」の注意表示です。道路の維持、舗装の関係者や警察の交通関係の方々には常識なのでしょうが、一般ドライバーの7割がわからないと回答したという調査結果※もあり、日頃目にしているけれど見過ごされているものの一つなのかもしれません。
右上の写真の標識はいかがでしょうか?これは絵柄でわかりますね。「踏切あり」の注意標識です。この「踏切あり」標識は2種類あり、他に電車のデザインのものもありますが、今となっては超レトロなこのデザイン、SLファンならずとも味わい深いと感じる方は多いのではないでしょうか?
他にもレトロ感満載の道路標識があります。「通行止め」にもいろいろな規則があり「自転車以外の軽車両通行止め」は「車両通行止め」の標識に描かれている自動車のイラストが大八車に置き換わったものです。主に歩道橋やトンネルなどに設置されているので、意外と目にしているはずです。さて、この軽車両とは何かを具体的に特定するのが意外と難しいようです。道路交通法では「自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であって、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のもの」と長々と定義付けられています。例えば、小型の自転車はどこまでが小児用の車と見なせるか?ショッピングカートや小型の台車は荷車に含まれるか?等々、色々なケースがあり、実際に2017年の秋には経産省が発表した「大型の電動アシスト付きベビーカーは軽車両である」というのは、ちょっとしたニュースになりました。このように、所管する官庁が細かく規則を定めたり、解釈を統一したりして運用しているようです。
ちなみに、「象、きりんその他大きな動物をひいている者」は「車道を通行すべき行列」に該当するとのこと。一応、お断りしておきますが、これはインドでもアフリカでもなく日本での話。
さて、地方色が感じられて楽しいのは、「動物注意」の標識。熊のイラスト標識を見ると、これぞ北海道という旅情が湧きますし、タヌキのユーモラスなイラスト標識など、思わず写真に撮りたくなります。ほかにも、サル、ウサギ、イノシシ、キツネ、リスと全国津々浦々、ご当地動物のオンパレード。私は見たことがありませんが、とある海岸道路には「カニ注意」という標識もあるようです。
さらに、目を海外に転じると、登場動物は、馬、羊、亀、ヘラジカからカンガルー、ワニ、カバまで、お国柄によってさまざま。中でもユニークなのは、大きなペンギンが小さな人間の男の子の手を引いているイラストが可愛らしい「ペンギンの親子連れ注意」の標識。これはニュージーランドの南極センターで見られるそうです。
また、中には意味不明なものも。フィンランドのサンタクロースのイラスト標識「サンタクロース出没注意」とか、最近ではオランダの「ポケモンGO注意」の標識がネットにアップされていましたが、どういう場所に設置されているのでしょうか?謎です。
道路標識のあれこれをご紹介してきましたが、海外には「スノーモービル通行可」、「ヒッチハイク禁止」といった日本ではご縁がなさそうなものから、「大便禁止」「小便禁止」「捨て子禁止」といった、そんな標識を立てるの?という代物まで、まだまだバラエティーに富んだ道路標識があるようで、海外旅行の際に「道路標識ウォッチング」というのも面白いかもしれませんね。但し、「ちかん禁止」、「テロ注意」、「戦車注意」の標識を見かけた際は写真撮影などに没頭せず、くれぐれもご用心を。 (小町谷信彦)
2018年4月2号
※2013年3月に警視庁が運転免許更新に来た人を対象にアンケートを実施。